
VPSは、MT4でインジケーターのサインを24時間監視したい場合や、EA(自動売買)を常時稼働させたい場合に必須のツールです。
しかし、VPSの導入には以下のような悩みがつきものです。
- 市販のVPSは、毎月2,000円〜3,000円の固定費が掛かる
- 海外FX業者の無料VPSは、口座残高や取引量の条件が厳しすぎる
「コストは抑えたいけれど、性能も妥協したくない」 そんな方に最適なのが、Amazon Web Service(AWS) を活用する方法です。
以前は「1年間完全無料」でしたが、2024年の仕様変更により**「完全無料」ではなくなりました。** しかし、それでも**月額600円程度(ランチ1回分)**という、市販VPSの4分の1以下のコストで高品質なVPS環境を利用可能です。
この記事では、AWSの「無料利用枠」を最大限活用し、格安でFX用VPSを構築する最新の手順を、画像付きで分かりやすく解説します。
1. AWSなら「実質月額ワンコイン」でVPSが使える
FXでEAを稼働させるためのVPS環境を用意するには、一般的に2つの方法があります。
- 市販のVPS業者と契約する(月額2,000円〜)
- 海外FX業者のVPS特典を利用する(高額な残高や取引ノルマあり)
市販のVPSは安定していますが、年間で考えると24,000円以上の出費になります。これはトレードの利益を圧迫する大きな要因です。
AWSの「無料利用枠」と「少額のコスト」について
AWSのクラウドコンピューティングサービス「EC2」には、アカウント作成から12ヶ月間の無料利用枠があります。
- サーバー本体(CPU/メモリ): 無料(月750時間まで)
- ストレージ(HDD/SSD): 無料(30GBまで)
- 通信量: 無料(月100GBまで)
ただし、2024年2月より、サーバーに割り当てる**「パブリックIPv4アドレス」に対して、1時間あたり0.005ドルの利用料**が発生するようになりました。
- コスト試算: $0.005 × 24時間 × 30日 = 約3.6ドル(約550円前後)/月
「完全無料」ではなくなりましたが、それでも市販のVPSに比べて圧倒的に安いことに変わりありません。資金効率を重視するトレーダーにとって、AWSは依然として最強の選択肢です。
2. AWSでVPS環境を構築する方法を解説
AWSでVPS環境を構築する手順は以下の通りです。2025年現在の最新画面に沿って解説します。
- AWSのアカウント作成
- AWSにサインインし、インスタンス(サーバー)を作成
- IPアドレスを固定化させる
- パスワードを取得する
- リモートデスクトップの設定を行う
2-1. AWSのアカウントを作成
まずはAWSのアカウントを作成します。
- AWSの公式サイトにアクセスし、「今すぐ無料サインアップ」または「アカウントを作成」をクリックします。
- [画像:AWSトップページの「アカウントを作成」ボタン]
- ルートユーザーのメールアドレスと、AWSアカウント名(任意の名前)を入力し、「Eメールアドレスを検証」をクリックします。届いた認証コードを入力して進みます。
- パスワードを設定し、連絡先情報を入力します。
- 利用用途: 「個人 - 自分のプロジェクト用」を選択
- 住所等は英語で入力します(例:東京都→Tokyo-to)。
- クレジットカード情報の入力
- 本人確認と、無料枠を超えた場合(IPアドレス料金など)の支払いに必要です。デビットカードも利用可能な場合があります。
- 本人確認(SMS認証)
- 携帯電話番号を入力し、SMSで届いたコードを入力して認証を完了させます。
- プランの選択
- 「ベーシックサポート - 無料」 を選択して、アカウント作成を完了します。
2-2. インスタンス(サーバー)を作成する
ここから実際にVPS(仮想サーバー)を作っていきます。AWSではサーバーのことを「インスタンス」と呼びます。
- AWSコンソールにサインイン
- 「ルートユーザー」を選択し、登録したメールアドレスとパスワードでログインします。
- リージョンの選択
- 画面右上の地域設定で、物理的に近い場所を選びます。日本の証券会社を使うなら「東京」、海外業者のサーバーがロンドンやNYにあるなら現地に近いリージョンを選ぶと遅延(レイテンシ)が減りますが、迷ったら**「東京」**でOKです。
- EC2サービスを開く
- 検索窓に「EC2」と入力し、サービスの「EC2」をクリックします。
- [画像:サービス検索でEC2を選択している画面]
- インスタンスを起動
- EC2ダッシュボードにあるオレンジ色のボタン**「インスタンスを起動」**をクリックします。
- [画像:インスタンスを起動ボタン]
- 名前とOSの設定(重要)
- 名前: 自分が分かりやすい名前(例:MT4-Server)を入力。
- アプリケーションおよびOSイメージ: 「Windows」を選択します。
- Amazon マシンイメージ (AMI): 「Microsoft Windows Server 2022 Base」などを選択し、必ず**「無料利用枠の対象」**というラベルが付いていることを確認してください。
- [画像:Windows Server 2022 Base かつ 無料利用枠対象を選択している画面]
- インスタンスタイプを選択
- 「t2.micro」 または 「t3.micro」 を選択します。
- リージョンによって異なりますが、**「無料利用枠の対象」**と緑色で書かれているものを選べば間違いありません。
- キーペア(ログイン鍵)の作成
- 「新しいキーペアの作成」をクリックします。
- キーペア名: 任意(例:vps-key)
- キーペアのタイプ: RSA
- プライベートキーファイル形式: 「.pem」を選択
- 「キーペアを作成」を押すと、ファイルがダウンロードされます。このファイルはパスワード発行に必要なので、絶対に削除しないでください。
- ネットワーク設定
- 「からのHTTPトラフィックを許可」「からのHTTPSトラフィックを許可」にチェックを入れておきます。
- RDP(リモートデスクトップ)トラフィックは「任意の場所(0.000.0/0)」のままでOKですが、セキュリティを高めたい場合は「自分のIP」を選択します(ただし自宅のIPが変わると接続できなくなるので注意)。
- ストレージ設定
- 無料枠は30GBまでです。デフォルト(30GB)のままでOKです。
- 起動
- 画面右側の**「インスタンスを起動」**をクリックします。これでサーバーが立ち上がります。
2-3. IPアドレスを固定化する(Elastic IP)
標準の状態では、サーバーを再起動するたびにIPアドレスが変わってしまいます。これを防ぐために「Elastic IP」でアドレスを固定します。 ※ここで取得するIPアドレスに対して、前述の月額数百円の料金が発生します。
- EC2メニューの左側メニュー「ネットワーク & セキュリティ」から**「Elastic IP」**をクリックします。
- **「Elastic IP アドレスを割り当てる」**をクリックし、設定を変えずにそのまま「割り当て」ボタンを押します。
- 取得できたIPアドレスを選択し、右上のアクションメニューから**「Elastic IP アドレスの関連付け」**をクリックします。
- インスタンス: 先ほど作成したインスタンスを選択。
- プライベートIPアドレス: 自動で出てくるものを選択。
- 画面下の**「関連付ける」**をクリックします。
これで、IPアドレスが固定されました。
2-4. ログインパスワードを取得する
Windowsにログインするための管理者パスワードを取得します。
- EC2ダッシュボードの「インスタンス」画面に戻ります。
- 作成したインスタンスにチェックを入れ、**「接続」**ボタンをクリックします。
- 「RDPクライアント」タブを選択し、**「パスワードを取得」**をクリックします。
- **「プライベートキーファイルのアップロード」**をクリックし、インスタンス作成時にダウンロードしたキーペアファイル(.pem)を選択します。
- **「パスワードを復号化」**をクリックすると、パスワードが表示されます。
- [画像:パスワードが表示されている画面]
- パブリックDNS、ユーザー名(通常はAdministrator)、パスワードをメモしてください。
3. リモートデスクトップで接続してMT4を導入する
いよいよ作成したVPSに接続します。
Windowsの場合
PCに標準搭載されている「リモートデスクトップ接続」アプリを使います。 「コンピューター」欄に、先ほどの「パブリックDNS(または固定IPアドレス)」を入力して接続し、ユーザー名とパスワードを入力します。
Macの場合
App Storeから**「Microsoft Remote Desktop」**をインストールします。
- アプリを起動し、「Add PC」をクリック。
- PC name: パブリックDNS(またはIPアドレス)を入力。
- User account: 「Add User Account」を選び、Usernameに「Administrator」、Passwordに取得したパスワードを入力。
- 「Add」をクリックし、作成されたアイコンをダブルクリックすれば接続開始です。
4. 接続完了!あとはMT4を入れるだけ
接続に成功すると、いつものWindowsの画面が表示されます。これがあなた専用のクラウド上のWindows PCです。
あとは、VPS内のブラウザ(Edgeなど)を開き、利用している証券会社の公式サイトからMT4/MT5をダウンロード・インストールしてください。 もちろん、独自のインジケーターやEAも、手元のPCと同じようにコピー&ペーストで導入可能です。
5. まとめ:AWSなら低コストでプロ並みの環境が手に入る
2024年の料金改定により「完全無料」ではなくなりましたが、それでも月額600円以下で高品質なWindowsサーバーを利用できるAWSは、個人トレーダーにとって強力な味方です。
- MacユーザーでもWindows版MT4/EAが使える
- 24時間365日、PCの電源を切ってもEAが稼働し続ける
- 停電やネット回線トラブルのリスクを回避できる
設定は最初は少し難しく感じるかもしれませんが、一度構築してしまえば、あとは快適なトレード環境が手に入ります。ぜひこの機会に、AWSでのVPS運用に挑戦してみてください。
この環境があれば、コマ式EAを24時間稼働させられます
koma's SHOP にてコマ式販売中!